チャイムが鳴ったら全力で家に帰ろう
登場人物
3歳兄 たかし(仮)
とーちゃん
たかしが昼寝をしている平和な時間。
「そろそろ1時間やし、起きてくるかな。お菓子用意しとかなまた文句言われるわ」
その言葉とほぼ同じタイミングぐらいで、ベッドルームから声が響く。
「とーちゃん、公園いこーー!!」
声でかッ!人間寝起きにこんなデカい声でんの??と思いつつ、ベッドルームを見に行く。すると、ベッドの上で正座してるたかし。
「なんで正座?」
「公園いこう!!」
「いや!だから、なんで正座なん!?まぁ別にいいけど、公園行こか。その前におやつあるよ」
「おやつなに?」
「なんやと思う?」
「うーん、クッキーちゃう」
「え、正解。なんなん、きみエスパーなん?あと、いつまで正座なん?」
「クッキー食べよー」
そういうと立ち上がってリビングに歩いて行った。
おやつタイムが終わって、たかしと一緒に家の近所の公園に向かう。もう時間も遅く17時半ごろ。
「もうお外くらなるから、チャイム鳴ったら帰ろなー」
「いいよ」
住んでいる地域は、18時になると街中に爆音のチャイムが鳴る。本当にうるさい。ただチャイムが鳴ると公園で遊んでる子はだいたい家に帰ってるし、それなりに役立ってる。
「なにして遊ぶん?」
「ちょうちょ捕まえる」
このセリフは過去に1000回ぐらい聞いてるが、捕まえれたことは、まだ一度もない。ちなみに道具はない!いつも素手!
野生児か!!!
まぁ走り回ってくれるから親としてはありがたい。でも本当に捕まえたら、大きくなったら素手で捕まえられるようになるんだろうけど、成長を感じてしまうんだろうなーとしみじみ思っている。
「ちょうちょどこかなー、あっちだ!」
「黄色のちょうちょいた!あー、飛んでったわ」
今日も走り回るだけで、チャイムが鳴ってしまった。
「これなんの音?」
「チャイムやで、毎日聞いてるやん。6時になりましたよ、お家に帰ろうねーの音や」
「あー、お家帰らないと」
そういうと、急に家に向かって走り出すたかし。
え?なぜ全力疾走?だがしかし、・・・めっちゃ楽勝やん。いつもやったら、チャイムなんて気にせず遊ぶのに、今日は家に帰ってくれるとか、たかし神対応やん。神シックスやな。
チャイムは10秒ぐらいで終わる。たかしはチャイムが鳴り終わるまで走っていたが、チャイムの終了と同時にピタッとその場で止まってしまった。
「どうしたん?おうち帰ろうや」
「チャイム終わっちゃったー、もうおうち帰れないわー」
ん?・・・あーー、なるほどーーー!
チャイムが鳴ってる間におうちに帰りましょうね、じゃないから!!!!
そんな趣旨のチャイムじゃないから!!!
公園から10秒とか、誰も家に帰れんわ!!!
「チャイムが終わってもおうち帰っていいんやで?おうち帰ろうかー」
「うーん、チャイム鳴るまで帰れないから。公園行ことーちゃん」
いや、そうはならんやろ!
次のチャイム24時間後ですけど!!!!
夜中におっさんと3歳児が遊んでたら通報されるわ!!!事案なるわ!!!
不機嫌にしてむりやり連れて帰ると、いろいろ厄介!なんとか機嫌のいいまま連れて帰りたい・・・
テキトーに声真似でチャイムの音をやってみる
「あははー、とーちゃんチャイムやー!」
そう言うとまた家に走り出した!
やったぜ!!!たかしに付いていって走る。
走りながら思った。これ、安易に始めたけど、もしかして家に着くまでチャイムの声ださないあかんやつ?まじで?
ここから走っても家まで30秒はかかる。息もたん!!死んでまうわ!!!
だが、自分で始めたッ!!やりきる!!!そうしないと24時間家に帰れない!!
最後のほうは、ほぽ声出てなかったけど、なんとか家に着いた!やりきった!!
「楽しかったねー。大っきい公園でも、とーちゃんチャイムやってね」
大っきい公園とは、バカでかい遊具がある公園でたかしのお気に入り。
家から車で15分ぐらいかかる。